これまでの活動

平成28年度の活動

第1回 高次脳機能障害検討会(子供)

日時:平成28年7月13日(水)

場所:筑波大学附属病院 会議室


第2回 高次脳機能障害検討会(子供)

日時:平成28年10月7日(金)

場所:筑波大学附属病院 会議室


第3回 高次脳機能障害検討会(子供)

日時:平成28年12月9日(金)

場所:筑波大学附属病院 会議室


第4回 高次脳機能障害検討会(成人)

日時:平成29年2月24日(金)

場所:筑波大学附属病院 会議室

平成29年5月17日(水)第5回高次脳機能障害検討会を開催しました。


今回は受傷から一年半が経過した、外傷性の成人高次脳機能障害の方の事例検討となりました。行政や関係機関の支援員の方々や家族に高次脳機能障害を持つ家族会の方々、医療機関、福祉機関、教育機関関係者など24名の参加がありました。


今回の相談は、ご家族からのものです。主な相談内容としては、「本人が新しい環境(デイケア)への移行に納得できないため新しい環境への調整が進まない」とのことでした。

失語症と視野の障害がある方で、情報の入力や理解に制限があることが考えられたため、アドバイスとしては、1.実際に新しい環境を見学・体験し、本人が具体的な予測が立つようにする。2.情報の提示方法を工夫する、3.スモールステップで進めていく(内容や時間など)、4.具体的な生活の目標を本人と共有するなどがあげられました。

アドバイスの主な理由としては、失語症の方は、言語からの情報収集が苦手なため、視覚から状況判断をされている方が多いようですが、本事例の方は、視野の障害があるため、視覚からの状況判断も十分ではなく、状況の変化に対する不安が強い状況でした。そこで、本人が理解しやすいように情報提示方法を工夫したうえで、スモールステップで進めていくとよいのではないかとの意見があげられました。具体的には、リハビリの内容と場所(環境)を同時に変えるのではなく、場所(環境)のみを変化させた後に、環境に慣れてきたころにリハビリの内容を変化するというように、通常であれば、リハビリの場所が変われば内容も変化するものですが、そこを細分化しご本人の受け入れられる変化の範囲を考慮したものです。また、「何のためにリハビリを続けるのか」というところが議題となり、リハビリのためのリハビリではなく、活動に焦点を当てることで、本人と目標を共有できるのではないかととの意見があがりました。


高次脳機能障害の後遺症がありながら地域で暮らす方には、当事者だけでなくその家族の生活があります。これまでのデイケアへの通所が出来なくなるということは、これまでの日常が、本人にとっても家族にとっても変わってしまう大変大きな出来事となります。今回の事例では、環境の変化を円滑に進めるために、ご本人のみならず、ご家族、ケアマネ―ジャーや新施設のスタッフなど、すでに多くの方々の協力がありました。特に、ご家族は本人と行政や施設との調整までされており、大変熱心に関わられていらっしゃいました。このように、すでに多くの方が協力されている事例でも、相談いただくことで、関係機関の方々や行政・教育・福祉・医療など様々な業種の方が集えば、何かしらのアイディアや新しい視点が生まれてくる可能性があります。それぞれの領域での成功例や考え方を学ぶことが出来て、スタッフ側も大変貴重な機会となりました。

この会では、相談がある方の関係機関の方々に可能な限り参加いただき、顔と顔をつき合わせて話し合うことが出来るとよいのではないかと思っております。是非お気軽にご相談ください。




平成29年2月24日(金)第4回高次脳機能障害検討会を開催しました。


今回は成人の高次脳機能障害の方の事例検討となりました。行政や関係機関の支援員の方々や家族に高次脳機能障害を持つ家族会の方々、医療機関、福祉機関、教育機関関係者など14名の参加がありました。

関係機関の方々の現状報告を受けて、様々な立場の方から、質問や意見交換が行われました。意見交換の中で、現状の課題の整理を行い、今後の支援の方針を話し合いました。一例として、1. 服薬の管理、2. 相談支援専門員一人で対応することの困難さ、外部機関、外部機能等とのつながりの強化などがあげられました。


高次脳機能障害の方は、人によって症状がまったく異なり、また、その方をとりまく環境によっても、顕在化する症状は異なってきます。そのため、家族、行政、医療、福祉施設のそれぞれの支援だけでなく、一体となった情報の共有と連携が、最大の支援となる場合があります。

検討会では、普段個々で支援や業務にあたっている様々な業種・職種の方が一堂に集まり、それぞれの立場の特性を生かしたアドバイス等の意見交換ができます。

高次脳機能障害当事者・ご家族の方々、行政、医療機関、福祉機関、学校関係、その中で相談したいことがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。


koujinoukinou.ibaraki@gmail.com 


次回は、6月ごろ開催予定です。ご参加をお待ちしています。


平成28年12月9日(金)高次脳機能障害検討会を開催しました。

第2回目に続き、お子さんの事例について検討いたしました。今回の事例は、第2回目にご家族から相談があり検討した事例で、前回のフォローアップを兼ねて、継続して検討いたしました。参加者は、ご家族、事例が通う作業所や放課後デイなどの関連施設の方々、家族会の方々、医療機関、福祉機関、教育機関の方々を含む20名以上の方が集まりました。

今回の事例は、子供の高次脳機能障害を有する方の就労支援に関する話題が中心となりました。家庭での様子、学校での様子、実習先での様子、放課後デイでの様子について、担当者より報告がなされた後に、参加者から質問や意見交換がなされました。

子供の高次脳機能障害を有する方の場合、「やれること」「やれないこと」や「やりたいこと」「やりたくないこと」が環境や気分によってムラがある場合があります。それが、高次脳機能障害に由来する認知機能障害や感情コントロールの障害によるものなのか、成長過程による感情の発達によるものなのか、混在している場合が多く、非常に判断と対応が難しいのが現状です。

このような場合、「どのような時にどのようなことができるのか、あるいはできないのか。」「どの場面でのできることはなにか、できないことななにか」、場面やその時の様子から整理して考えていくことが重要になります。整理して考えていくと、「機能障害」としてできないのか、「感情のムラ」なのかなどの整理がなされ、トレーニングすべきところと、対応を工夫するところとが分かるようになってきます。

この作業を行うには、それぞれの関連施設の担当者が一堂に会して話し合う場が必要であり、本検討会はそのような場にしていきたいと思っています。

お困りの方がいらっしゃったら、お気軽にご相談ください。

koujinou.ibaraki@gmail.com